日本酒作りの発酵の仕組みは?製造工程を分かりやすく解説
日本人の主食であるお米を原料に造られている「日本酒」。日本各地にさまざまな種類の日本酒が存在しますが、味わいが異なってもその製造工程と流れはほとんど変わりません。本記事では、日本酒造りにおける流れや発酵の工程をご紹介します。日本酒を飲むことで得られる嬉しい効果についてもお伝えするので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
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適量の日本酒を飲むことで得られる嬉しい効果
適量の日本酒を飲むことで得られる嬉しい効果をご紹介します。
健康効果
日本酒は、血圧の上昇を抑える成分が含まれていたり、善玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させたりすることがわかっています。これらの効果は農林水産省も認めており、適量を飲むことで、健康増進をサポートしてくれるでしょう。
美肌効果
日本酒の特徴的な栄養成分に「コウジ酸」と呼ばれるものがあります。コウジ酸は、日本酒の原料になっている「麹」から見つけられた成分であり、シミの元となるメラニン色素の生成を抑える効果があるのです。また、抗酸化作用を持つポリフェノールの1種である「フェルラ酸」と呼ばれる成分も豊富に含んでいるため、アンチエイジングにも役立つでしょう。
血流の改善
日本酒に含まれている「アデノシン」と呼ばれる成分には、血管を広げて血流を良くする効果があります。適度に摂取することで、血行が程よく促進されて、冷えや肩こりの改善につながるでしょう。
日本酒を発酵させる理由と仕組み
日本酒は、米、米麹、水の3つを原料として、アルコール発酵を行っています。米には糖分が含まれていないため、米麹の力を利用して、デンプンを糖分に変換させなければなりません。
デンプンを糖化させる働きとアルコール発酵の2種類の化学反応を並行して行う、日本酒の製造工程のことを「並行複発酵」といいます。このように日本酒を発酵させることで、アルコール飲料を製造できるのです。また、アルコールを発生させるだけでなく、米に含まれるタンパク質をアミノ酸に分解する過程で、日本酒ならではの旨みやコクが生まれます。
日本酒の製造工程を解説
ここからは、日本酒の製造工程を大まかに解説します。
玄米を収穫して精米する
日本酒作りに使用する米は、私たちが普段食べている米ではなく「酒造好適米」と呼ばれる種類を使用するのが一般的です。酒造好適米を収穫したら、始めに精米を行います。
水分を吸収させる
精米した酒造好適米を洗って汚れや糠を取り除き、水分を吸収させます。
米麹にする
米を蒸すための大きめの蒸篭や蒸米機を使用して、水分を含んだ米を蒸します。ここでしっかり蒸し上げることで、米に含まれるデンプン質を変化させ、水分量を調節することが目的です。また、殺菌作用を高める効果も期待できます。
蒸した米を、麹造り用、もろみ造り用、酒母造り用の3つに分けて冷まします。麹造りとは、麹菌を米につける(製麴)ことによって、麹菌の発酵を促すことです。
発酵させる
アルコール発酵を促進する「酵母」を増殖させると「酒母」と呼ばれるものになります。水と麹を合わせて、そこに酵母と乳酸菌、蒸し米をプラスすることで、酒母となるのです。これらの工程が完了するまでに、およそ2週間から1か月ほどの日数がかかります。
もろみを絞り日本酒と酒粕に分ける
ここでは、日本酒造りにおいて味を左右するといわれている「上槽」と呼ばれる作業を行います。上槽とは、麹、蒸し米、水を発酵させて作った「もろみ」を絞り、酒と酒粕に分離させる作業です。
火入れを行う
絞ってすぐの日本酒には、酵母や米などの小さな異物が混ざっているため、濾過して取り除きます。さらに、65℃以下の低温で30分ほどじっくり加熱して殺菌を行います。その後は、熟成を行うために、およそ半年から1年程度貯蔵するのが一般的です。
殺菌・瓶詰めする
出荷前に再度火入れを行い、パッキングして出荷します。
日本酒の製造過程と効果を知って、さらに美味しく味わおう
本記事では、日本酒の製造過程や日本酒を飲むことで得られる効果について解説しました。日本酒の醸造工程は「並行複発酵」と呼ばれる、非常に高度な発酵技術を使っています。日本酒を飲む際には、複雑な工程を経て出来上がったお酒だということを、ぜひ思い出し味わってみてください。